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物と精神

詩・小説・批評・哲学など テーマは「世界と自分のあり方」全体です

明日の勝利




感受性のない人間が

この世を支配している

だが、それは多分、当然の事なのだ

世界は義務を遂行し、すでにある価値を認める者に

多大なる権利を与える

従って、パスカルやニーチェのような懐疑主義者達はいつでも

この世の厄介者にすぎない

そして、感受性の欠けた人々は時折

塔のてっぺんでニーチェやパスカルを引用してみせる

彼らをその塔のための一つの瓦礫石とするために

これまでずっと長い間、天才と凡人は闘争してきた

そして、その勝利は常に凡人ものであり、愚か者達は常に勝者であったのだ

だが、天才達にも一つだけ特権が許されていた

それは敗北する事によって自身の軌跡を社会の中にしっかりと残す事

彼らはそうやって、負ける事により自己を発現してきたのだ

勝っている人間とは何者でもない

彼らはただ、集合体にすぎない

それは黒い鳥の群れの中の一匹を見分ける事ができないようなものだ

あるいはネット上で集団意思にまぎれて、他人を攻撃している人々のよう

我らには敗北する術がある

そして、敗北こそが明日の勝利なのだ


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神への復讐




神と人間とが将棋を指せば

常に、神に一歩有利だろうか

神は常に人間の思考を読み取って

そして、その次の手を指すだろうか

すると、人間の方でもすぐにその事に感づき

それとは違う手を指そうとするだろうか

だが、そんな事で神の手は破れはしない

だが、その敗北の仕方に

人間らしさの全てが現れる

・・・ここ最近は、神になったかのような人間が多い気がする

彼らは人権・法律・弁護士・裁判・世論・メディア・多数決などを背負って

そうして正に人神の如く判断をし、他人を追い詰める事をしている

・・・僕は気がかりなのだ

いつ、神と化した彼らに

彼らの人間性そのものが

復讐するのか、という事が

バベルの塔の頂上で




僕もまた人並みに幸福になりたいのだが

僕の中の宿命がそれを許さないのだ

僕は幸福が恐ろしい

幸福になる事はいつも、次の瞬間にやってくる

深淵への落下を予測させる

だから、僕には不幸こそが似つかわしい

不幸は安心する 孤独でいると

人と離れ離れになる心配がない 他人の信頼を得続けるために

努力したり演技したりしなくて良いと思える

だが、しかし、今、この僕の書いたものを読んでいる『君』とは何か

それは僕の為に作られた一つの偶像ではないのか

僕はいつの間にか、自分に都合の良い君を創造してしまったというのか

僕の語る全ての言葉のあらゆる感情に

仔細にうなずいてくれるそのような魂を

そして、その時、ようやく、僕は孤独から解放されるというのか?

・・・今、僕が気が違っている事を確信する時

実に僕の心は穏やかで満ち足りている

まるで世界がバグってぶっ壊れたかのようだ

そして、ゆったりと月は落ちてくる

あれはコロニー落としの夜・・・そう、君が生まれた晩だ

だが、いつか君の正気は僕の狂気を

理解するはめになるだろう

何故って、君も一人の人間だから

だから、君もまたあの人間達が造り上げたバベルの塔を

再び、登りきらなければならないだろう

そして、その頂上では僕の狂気が君を待っている

君が血を吐きそうな微笑を見せて

僕に握手を求めるその日を


詩は何の為にあるか



趣味的に詩を理解し

生活の合間に絵画を見る

・・・君はそれをダシに

女の子とデートの予定を組むのかもしれない

あるいは利口な大学教授はそれで

自分の息子を私立の高等学校に入れるのかもしれない

だが、その時、それらを描いた詩人や画家は

現実を遠く離れて、異境にいる

詩は、芸術は人生を彩るためにあるのではない

それは人生を助力するためにあるのではない

それはただ、人生を超越する為だけにある

一輪の花に意味を問う事なかれ

君の快楽など知った事ではない

世界に大して、詩人が耐えられぬほどの無限の苦痛を感じる時

その時、始めて、詩は美しく咲き誇る

詩人の全人生を栄養土としつつ

記憶の光景

記憶の光景



例えば、僕達に否定する事のできない

沢山の道楽や快楽がはびこっている

誰かがアイドルになる夢、金を沢山持つ夢、有名になり、人から見られる夢

そんな夢がたくさんあって、それらはもちろん、否定すべきものではないのだが

しかし、僕達にそれ以外の夢は見当たらない

遠い昔、ニーチェが「神は死んだ」と言った時に、神は死に

それと共にあらゆる種類の理想は滅びた

そうして二つの大戦を経て僕達はやがて

自分達の生のみを一心に追い詰めるようになった

「これを持てば幸せだよ!」「これを買えば勝ち組だよ!」・・・そんな言葉が市場に響く

そんな世界に今、僕達は生きている

そこではもちろん、人間も所有物の一種で

彼女や彼氏や友人が沢山いたりすると「リア充」だと目されている

と、いうのも僕達にはあのニーチェの宣言以来、どんな理想も失われてしまったので

ひたすら、僕達の金銭欲や快楽や享楽を追求する他なくなったからだ

だから、この世界ではスポーツ選手と投資家とアイドルだけが英雄のようであり

それ以外は何となく闇に沈んでいるように見える

さて、そんな世界では僕達ーーーいかれてしまった者達は

一体、何を思えばいいのか?

そこで、僕は僕一人だけが入れる夢を作成して

それに身をすっぽりと入れて、世界から自分を隔離する事にした

そして、そこでまどろんでいる内に僕はいつの間にか

おじいさんになってしまっていたのだ

そして、目覚めると、そこに人々はもういなかった

そこには人々の影は一つもなかった

人々の享楽と幸福はやがて大きな失望と絶望を生み

そして、それが他者への攻撃へとつながり、そしてその結果、世界は滅びたのだった

だがしかし、僕は「そうか」と一つ呟いただけで

また、自分の夢の中にそっと戻った

もう世界は滅びてしまったのだから

これからは安心してあの世界の事を愛せると

そう思いながら

全て滅びてしまったので、滅びてしまったものは深く愛する事ができる

人類も同様に

だが、その時、寝入った僕の夢に出てきた光景は

人類ともあの世界とも全く関係のない

僕自身の幼い日の記憶の光景だった

一番幸せだった時



音楽は奏で

詩は語る

誰もが沈黙を要しているが

誰もが饒舌を愛好している

誰もが批評家だが、「創作家」は一人もいない

・・・最近では、哲学者はみんな哲学研究者に還元され

科学者とは知の世界を探索する探求者ではなく

過去の理論をただひたすらなでさする存在でしか無い

あらゆる答えがウェブを通じて流れているので

人々は問いに触れる事ができない

一日三食満足に食べる事ができ、夜はぐっすりと安心して眠れるが

人は自分を「底辺」だと信じて疑わず、そして「上」に行けば幸せになると

本気で夢見ている

しかし、それは所詮、システムが僕達に見せた巨大な一つの夢にすぎない

この化物のような世界はそうやって、夢をダシにして僕達を搾取する

つまり、僕達の人生というもっともかけがえのないものを

・・・君は山頂から飛び降りてみたまえ すると世界が

逆さに写って見えるだろう その時、君は

自分が一番貧しかった時が一番幸福だった事を知るのだ

時の樹木



僕は「時」が欲しい

細切れにされた時間

スマートフォンによって刻印され、タイムカードによって切り取られた時間

そんな時間はもういらない

誰もがFXの一分一秒の落差で

天国や地獄を見る・・・そんな時間で

世界は溢れかえっている

僕が欲しいのはそうした時間ではない

それはもっと肉体的な時間、次第に樹がゆっくりと成長していくような

そんな「時」が僕は欲しいのだ

そして、その時が一つの成就を見る時

僕という枝の先にある葉達は始めて

僕に先駆けて何億年とそこに突っ立っている

星々の美しさを

本当に知る事ができるのかもしれない

君と僕




僕は孤独でいると

まるで、大勢でいるかのように

安心する

僕は皆といると

まるで孤島にいるかのように

寂しい

なので、僕は寂しくならないために

いつも、一人ぼっちでいる

そして、この寂しさをわかちあう人は

もう一人の僕

即ち、君

大河の後で




時の中で立ち止まれば、

ふと、秋の風が吹いている

「お前には何の価値もない」と昔、言われた事がある

だが、価値とは一体何か

今この吹きすさぶ秋風に

一体、どんな「意思」や「価値」があるというのか

・・・全ては大河のように流れ去ってしまえ

国民年金と確定申告を押し流し

ナポレオンとビスマルクの偉業を押し流し

その波間にふいにラファエロとシェイクスピアの偉業をちらと見せつつ

全てはこの秋の風のように、あの大河のように

押し流されてしまえ

今、僕は一人、秋の風の中に立っている

遠い昔、僕は自分の人生を放逐してしまった

崖の上に立って、古い恋人からの手紙を投げ捨てる人のように

そんな風に、僕は僕の人生を断崖から投げ捨ててしまった

・・・だから、全てよ 流れ去ってしまえ

どんな人生の価値も意味も見せる事なく

全ては傍流と亜流に別れて流れ去ってしまえ

そうしてその後に倒木が一本残っただけだとしても

その倒木には多分、人類一つ分の価値が

残っている事だろう


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