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物と精神

詩・小説・批評・哲学など テーマは「世界と自分のあり方」全体です

誰もが幸福を追い求めるとは不幸な時代である。

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 精神という現実


精神もまた一つの現実である
現実主義者はあるものだけを「現実」と呼ぶが
精神もまた一つの現実である
人の思念の中にあるものが実現されて未来となる
もし人の思念を現実でないと斥けるなら
君達に一体何ができるか?
この世界とは一体何であるか?


  肯定のあなた

否定と廃頽の中
私は肯定のあなたに出会った
あなたは無数の「ノー」をいとも簡単に
「イエス」へと捻じ曲げる
あなた自身がたった一歩、前に進む事によって

   一陣の風

私はここに存在している
どんな時も
あなたが頁をめくれば

私はここに存在している
あなたが笑っている時もあなたが泣いている時も
私は笑っているあなたを泣いているあなたをここから見ている

私はここに存在している
あなたが私を不要になった時も
私は依然、ここに留まって存在している

そしてあなたが死ぬときも 私が死ぬ時も
私はここに存在している
紙に括りつけられた一陣の風として

重力に抗して

  

鳥は
重力に抗して空に舞う

ロケットもまた地球の引力に反して
宇宙に飛ぶ

さて、人は
人の叱責に打たれ あるいは 人の暴言に傷つき
死んでしまったりする
その時、人は他人という重力にひきずられて死んでしまう存在
だから、この重力を打ち破って
強く強く飛ぶ必要がある

人がどんなに「ムリだ」「ダメだ」と言っても
できるものはできるのだ

   永遠の座席

放課後の教室に
誰も居ない座席達に
夏の夕陽は当たり、
グラウンドではスポーツ部員が
陽に照らされ僅かに
眉をひそめ、
先生達はもう家に帰っていて、あるいは
職員室で明日の説教の予習と
繰り言に余念なし、
今年の夏もこうして過ぎるとまた秋がやって来て
人々の狂乱が始まる
文化祭に修学旅行・・・
それでも今、夕陽に当たっているあの座席達は
永遠だ

   美の女神に

美しいものが美しく
僕は涙を流した
とめどなく溢れた涙は
一体、誰に差し向けたものだろう・・・
それはどんな利得も無視して
悠々と流れていく大河のようだ
僕の涙は流れ流れて
天上の君の足元を浸す
君はちょっと笑ってそれを手にすくい
口元に少し含んでお茶目に笑った
そう、天上のあの日
僕は君に恋したのだった


   夏は振り返らない

夏、
空に近づく

心の中で緩やかに
時は流れる

相対性理論の誤ちに気付いた後
人は再び原子爆弾を落とす

それは宇宙から見れば
小さなかわいい線香花火 だから僕は

宇宙に小さな小さな灯を点す
僕の希望を天に掲げて

その間も夏は走り去り
後ろを振り返る事は決してしない

    スペース

   スペース

音楽が僕達を奏でる
詩人が世界を創造し
画家が世界を色づけし
僕達の意志が宇宙を膨張させる
科学はよくできた物差しにすぎない
だが、その物差しもまた
世界の拡張に一役買っているのだが
人間の虜のような狭苦しい考えだけが
鳥を籠の中に、蛙を井戸の中に閉じこめる
僕達が何も望まなくなった時
世界は収縮を始める
所詮、何をやっても無駄だ、と人は言う
成功した人は才能のある人達だったのだ、と
それだからこの牢獄のような世の中で
才能のない僕達には
歌うスペースが生まれるのだ

    あるだろうか?

  
知っているか
言葉達を?
決して君に語られる事なく
死んでいった無数の言葉達を?

知っているか?
死んでいった者達を
僕達が見なかった為に死んでいった
無数の命を?

知っているか
一つの宿命を?
誰にも見られる事なく、それ故
自分自身の道を全うしたそうした宿命を?

知っているか
君自身を?
君がまるで君と関係ない事にうつつを抜かしている間
泣いている君自身を

知っているか
僕を?
ここで歌っている
僕という存在を

知っているか
君は君を知っているか?
君は僕を知っているか?
君は世界を知っているか?

そして、それらを
愛した事があるか?

  前に進もう

風、騒ぐ
浪は立ち

 君は冷静
 世界は平静


世は暗く
我が魂も暗く

 君の涙が
 紅く光る・・・

この世を一閃薙ぎ払う
巨人の斧は

 僕達の中で夢と潰えて
 消えていった・・・

君、歌う
君の歌を

 僕、叫ぶ
 僕自身の魂を

君は孤独を
僕は和合を

 共に糧にして
 さあ、前に進もう

     私の世界の中の私

     

あらゆる言葉が難解な象形文字である時
私は私の言葉達を塞ぐ
私の言葉が流れ出ないように
そして外部の言葉をせき止め
私は少数の過去からの語り人達の
誰よりも沈黙を願った言葉達を採り入れる

あらゆる音楽が不可思議な旋律に思える時
私は私の心の耳を塞ぐ
世界はできの悪いスピーカーだから
私は心のチャンネルを合わせて
遊星からの声を聞く

あらゆる映像がコマ送りの自殺者の見るスローモーションの時
私は私の目を殺す
世界にはこんなに映像が溢れているのに
そこに私が映ると、その瞬間、私は他人になってしまうから
私は私の心の中にしかない孤島を
私の心の中にしかないカメラで映す
そこには誰も映っていない
それが私の心だから
だが、それでもその映像の最後には
美しい蝶が一匹舞い
結局、それが私なのだ

私は私の言葉で満たされ
私は私の音楽で満たされ
私は私の映像で満たされる
世界が今、一つの模造の世界である時
私は私の鼓動を聞くように
私の世界の中で存在している

生きる事がこんなにも重荷であるのは、我々が生に対して過剰な責任と期待を負わせているからである。

地獄から始めよ。天国に辿り着く。

 大抵の人間は自らに批判的な意見を言われるとムッとして怒り出すか、聞き流す。そして自分を賛嘆する意見にでくわすと思わず喜ぶ。だが、愛情のない賛嘆も、愛情のある批判もある。

 ゲーテは「大衆は女性を扱うように扱わなければならない。つまり、彼らが求めるもの以上の事は言ってはならない。」と言った。大衆というのは、決して愛情ある批判を理解しない人々の事である。

   夏の匂い

夏という透明な雫
空の匂いーーー光の中で
あなたはいた
少女は往年の片時を忘れず
中年は幼時の微笑みを忘れて
時は進む
「ガラスは砕かれた玻璃の名残りだ」と
誰かが言う
その言葉は乾いた言辞の中を
優しい旋律のようにうねって進む
風は樹と樹の間を巧妙にすり抜け
あなたの下へ
あなたは飛んでいこうとする帽子を押さえて
その時、ようやく始めて
夏の匂いを嗅いだ

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