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物と精神

詩・小説・批評・哲学など テーマは「世界と自分のあり方」全体です

   ミュージック


川のほとりを僕は
歩いていく
世界は透明な薄く切り裂かれた布だった
それでも僕は独り
川のほとりをとぼとぼと歩いた

  鳥達は自らの生活を楽しむように
  彼らなりの水浴びを
  人間達もやはりそれぞれのやり方で
  ランニングをしていた

僕は川のほとりを独り
ランニングもせずに歩いた
僕は段々と透明になっていく世界の中を
一人、ミュージックを聴きながら歩いた


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   此岸


海の向こうで
星は透明に光っている
・・・僕は独りだ
世界はいつも彼岸であって
此岸では僕一人が咲き誇っている

   存在しないはず


存在しないはずの僕が
世界の真ん中を歩いていく
存在しないはずの僕は
人の目には全く見えない
存在しないはずの僕が
世界の王道を歩いていく
・・・僕の努力は目に見えない
人のいない所で魂と血を吐いて
もがき回っている僕の努力は
人の目には決して見えない
存在しないはずの僕が
世界の真ん中を突っ切って進んでいく
・・・・・・やがて
存在しないはずの君と
出会う日もあるかもしれない

   少年とサッカーボール


敗北した者達が微笑を湛える夜
勝者達は青ざめて震えて立っている・・・
敗北者達が勝者を殺す夜
馬は青い眼を月に光らす
ああ、この世とは一片の塵なのだ!
誰か、サッカーボールを蹴飛ばすように
こいつを思い切り、月の果てまで蹴飛ばしてくれ!
この世は腐った卵より尚悪い
浄化しようとすると更に不浄になる汚物!
せめて君の瞳を光らせて
俺の魂を焼き尽くしてくれ! 今ここで!
・・・敗者達が凱歌を上げる五月
全ては新たな霜に凍って終わった
世界は透明な霧に似て
その中で少年はサッカーボールを蹴っていた


    地獄の雷


溶けた陽の苦い味を
お前の舌は知っている
人々の凍った冷たい太陽を
今、大鴉達が一斉に温める・・・
黒鳥の群れに希望を見て
画家は一筆のデッサンを描いた
子供達のブランコには死霊が乗り移り
俺の両手には目玉が一揃い並び・・・
それも愉快な光景だと
神々の哄笑が叫ぶ
「お前達に残された時間はもうない・・・一刻の猶予も」と言う
未だ存在する事を許された神々が
「黒板」の消し炭によって消される日・・・
阿呆鳥は西へ、西へ・・・
俺の魂は東へと飛ぶ・・・
全てはうらびれた風の中
一枚の木戸の戸となって終わるだろうさ・・・
風に揺らめくガタピシするその音・・・
世界は救われたのだ・・ 今ここで
暴虐と殺戮の中に救いを見よ
したらば君の本性が夜の内から蘇ってきて
君を抱くであろうから・・・
俺の魂は・・・そう・・・
凍ったまま西南戦争で使われる
イカれた地獄の雷を
神々の乱舞する夕べに叫びながら



    地球の中心


長い空の向こうに
お前自身の空が待っている
言葉は薄く透明で
人々の薄皮を剥がせば
一体、何が出てくるのか知らないが
おそらくは「自愛」と「他者愛」と「利己心」と何やらと・・・
要するにそうした道徳の授業でこね上げられた理屈が噴出してきて
僕らの目を覆うのだろう・・・
長い空の向こうに
お前自身の空が待っている
人々と袂をわかって空を見上げれば
今ココーーー地球の中心に俺は立っている

模倣の歌


海の沖の波の向こうには
一つの孤島があって
そこで妖精達が歌っている・・・
僕が渾身の力を傾けて耳を澄ませば
それは透明な洞窟を通って僅かに僕の耳に届く
人々の耳に聞こえない それは
やがて拙劣な模倣を伴って
一つの歌となる

   有閑婦人の夢想


学校はいつも雨の匂い
少年は夏の日に
世界を憂える
学校はいつも陽の香り
少女はデートの当日に
自殺を想う・・・
世界はいつもいつも同じ回転ばかり続けて
飽きないのかしら・・・と
有閑婦人は秋の日に
夢想する


滑ろう


学校は独り、
雨の匂いがする・・・

   校庭を裸足で
   走ろう・・・

世界はまるで
雨の降る時の土の匂いがする・・・

   世界を渡り廊下にして
   走ろう・・・

人間はまるで冷たい氷のよう・・・
僕の心も溶けてくれればいいのだが・・・

   人々をスケート場のリンクにして
   滑ろう・・・

    少女シリーズ


      死の華

少女は塔から身を投げる
どこか見知らぬ高層マンションから
少女の死に親は激怒し
その非を全て学校に帰した
学校は「我々に責任はない」と言及し
同級生達は沈黙していた・・・
少女は塔から身を投げる
どこか見知らぬ高層マンションから
少女は今や誰も恨んではいない
彼女は死んで華となったのだから


      少女の挨拶

・・・少女は眠りに就く時
殺したい奴の名を端から上げる
「A子にB子にC男・・・」
皆死んでしまえと
少女はそう呟いて眠りを貪る
そして翌朝、彼らに出会うと少女は
嬉しそうな顔をして挨拶するのだった
「よっ。おはよう!元気?・・・・」

   泳ぎ切る者


時間の中を深く揺らめき
お前は時の河を渡って行け
例え、世界が一片の塵に過ぎなくとも
お前の五指は輝くだろう・・・
お前は神風の上を左手を滑らせるようにして
独り、孤独に渡って行け・・・
この世が悠久な大河だとしても
溺れる者がいるのと同じように
泳ぎ切る者もまた存在するのだから

    登校


深夜、少年は目覚め
布団の中でもじもじとする

  少年は何かを予感しているのだ・・・
  少年は何かを待ち受けているのだ・・・

深夜、少年は目覚め
窓を開け無意味に夜空を眺める

  少年は何かと闘っているのだ・・・
  少年はいつも何かと葛藤しているのだ・・・

深夜、少年は目覚め
窓を乗り越え、夜の中へと飛び出して行く

  少年は絶えず冒険しているのだ・・・
  少年は絶えず羽ばたこうとしているのだ・・・

               
 少年は朝目覚めると全てが夢であったことを悟り
 そそくさとパジャマを脱ぎ捨てると登校した。




   世界を呪う日


君は空を見つめて
この世界を呪っている
世界は虚空の中の澄んだ目に似ていて
何も伝えないが指示だけはする
君は空を見つめて
この世界を呪っている
海の波がまるで澄んだ牙のように
君を襲っても 君は
君の瞳の中の炎を絶やさない
君は空を見つめて
この世界を呪っている
この世界は虚空で孕まれた胎児のよう
何もしはしないが要求だけはする
君は空を見つめて
この世界を呪っている
君が見つめる空の中に眼が そして
君の眼の中に空が発見されるその日まで
君は世界を呪い続ける

少女のお迎え


今日、学校は
雨だろうか・・・
少女は窓の外、ぼんやりと煙る
風物を眺めて学校を思いやる
今日、学校は
雨だろうか・・・
少女の記憶に残る少年への初恋
それは記憶の中に残る爛れた染み・  ・ のよう・・・
今日、学校は
雨だろうか・・・
少女は仮病を使って布団の中に潜り込み
お迎えがやって来るのを待っている
今日、学校は・・・



     遠い亡景


窓の外は雨がしたたり
君は孤独を感じている
煙突のかすみが遠い亡景のように
君の眼に降りかかる
と、君は突然眼を見開いて
この世界をゆっくりと眺める
そこに何もないことを改めて確認すると
君は再び眼を閉じて深い眠りの中へ・・・
遠くでは煙突が
遠い亡景のようにかすみを吐いている


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