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物と精神

詩・小説・批評・哲学など テーマは「世界と自分のあり方」全体です

神聖かまってちゃんを褒める理由

 神聖かまってちゃんを褒める理由


 これまで、あらゆる芸術は我々の作った劇場で踊る一人の踊り子に過ぎなかった。我々は、それを好き好きに論評する。そして、それは○とか×とか、〇点とか九十点とか、そんなレッテルを貼られて、そうして退場していく。そして、その主権は我々、視聴者の方にある。そして、それはテレビーーーそしてニコニコ動画のコメント、あるいその他インターネットの様々な無数の言葉へと進歩し、こうして視聴者はほとんど神のような権力を持つにいたった。人々は今や、世界に対する言葉という絶対的な権力を握っている。人々は、観客席から自由に、この壇上の人間たちに言葉という武器を飛ばす事が可能になった。あるものは傷つくだろう。あるものは栄光を受けるだろう。だが、それらのどれもが、この視聴者という王に拝跪する存在であった。だが、ここで一人、完全にキチガイの少年が現れ、そして彼はこの観客席に向かって叫びかけた。『僕はお前達に叫びかけてやる!。お前達が、そうやって王様面しているから、だからこそ僕はお前達に、今、こうやって叫んでやる!』。この少年の風采は醜く、人々はすぐに言葉の槍を投げつけた。そして劇場のオーナーが現れ、すぐにこの少年をひっとらえて、そして二人は舞台袖へと消えた。だが、この劇場に叫びは残っていた。人々、観客に向かって、自分達の存在目がけて、壇上から何かを言われた事など、これまで一度もなかったからである。誰一人として、この神であり王である観客に逆らおうとした人間はいなかった。ところで、今、それをやった一人の気の狂った少年がたしかに存在した。そしてこの少年こそーーー『神聖かまってちゃん』の『の子』であり、そしてこの叫びこそが『ロックンロールは鳴り止まないっ』という曲だった。ここでは、これまでになかったコペルニクス的転回が行われた。・・・僕はそう考えている。人はこの曲のコメント欄に、きっと次のように書くに違いない。『こんな曲、糞だ』。『こんな曲、音楽じゃない』。だが、こういうコメントをする人は、正にそういうコメントを書く故に神聖かまってちゃんの術中にはまっている事を忘れている。『の子』は先に、記しておいた。「最近の曲はクソみたいだと君は言う だから僕は君に向かって叫ぶ」。・・・そう、そのように『の子』は先に言っておいたのだ。だから、たとえこの曲がクソだとしても、この曲をクソだとあざ笑う者よりはその思想は上回っているーーーー『ロックンロールは鳴り止まないっ』という曲は、そんな風な複雑な構造になっている。これは見かけほど、簡単なものではない。
 とにかく、僕はそう思う。そして、人々がこの叫びを無視しようと、それはもう遅いのだ。・・・僕はそう思う。一度叫ばれた真実は、それが真実であるが故に消える事はない。様々の趣味的、娯楽的作品は人気と不人気の間に挟まれて消えていくだろう。だが、この叫びは到底消える事はないだろう。なぜならそれは、人々の認識そのものに叫びかけた始めての作品だからである。ここには一種のコペルニクス的転回がある。僕が神聖かまってちゃんを高く評価するのは、大体そういうわけである。

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『私』の消失


 私の肉体は死んでいく。その事は私の魂が知っている。例え、私が死んでも、魂は新たな機械によって保存されるだろう。その事は、悪夢に違いない。私は考える。考えるのだが・・・・・・・私はただ、考える。それだけ。

 私はメイクをして、自分の顔を書き換えて、今日も外に出て行く。それは見知らぬ他人。私が永久に知る事のできない、どこかの他人。私は他人となって、この世界を闊歩する。だから、世界には他人ばかり。

 もし、私があなたに出会ってもーーーあなたが、私を抱いたとしても、あなたは私の魂のほんの一欠片も知る事ができない。それが真実。この世の掟ーーー。

 今、私は生きている。誰かに生かされているという感覚を持ちつつ。私は会社に行って、帰ってくる。・・・好きな男や友達?・・・そんなものが何を意味するか、とうに私は忘れてしまった。私は孤独ーーーいや、孤独ですらない。私は私を剥奪されている。だからーーーーー。

 もし、私が死んで、この文章が誰かの目に触れる事があったら、私の親や友人と呼ばれている人々はどう思うかしら?・・・。私は、彼らを完全に騙して生活してきた。それが、人々への私の誠実さだった。・・・私は、人が求める私を演じ続けてきた。そして、その事に疲れた。

 今、私は死ぬ事によって、本来の私に帰る。サヨナラーーーー『世界』はこれまで一度も、私に触れる事はなかった。

 私はーーー最後に水を飲む。だたの水道水。なのに、それはこの世で味わったどんなものよりも美しい味ーーーーそう、私はこの最後にこの水との接触を残して、世界を去る。そう、そのコップには私の口紅の後が残っている。それが私ーーーそれが、私の残像。さようなら、世界。



 私は消失した。

光は・・・

 俺は光と色彩の内に花火を見た。光?だがそれは・・・誰も黙らせることはできない。
 光と影の分身だと罵った奴が今や俺の下僕だ。それでも・・・乾いた舌の根を光らせていつも遠くの彼方を狙っているあいつは・・・親友だ。
 俺が喰ったのが彼女だ。
 彼女なんてものを上手いぐあいにこね上げるために俺達がいくらの時間を要したか・・・分かるまい。人が都市を建設するのにどれくらいの犠牲を払ったか分からないように。
 都市に犠牲はつきものだ。あちらからもこちらからも死体が出る。それを屠って食べるのが都市ーーー人の意思だ。
 俺は孤独になった。誰の倦怠でそうなったということもない。ただ俺の倦怠でそうなったのだ。
 だからーーーしかし。いいやーーー言葉が・・・うまく出ない。
 言葉など死んでしまえ!・・誰かの・・・いい気味だ。久しぶりに夜を見た。
 奴らは・・・芸人だからな。・・・上手いことやって・・・一発合わせようって腹だ。俺は殺した、そんな奴らを。
 風は・・・凪。誰の暗号だ?そんな言葉を思いついたのは?俺か?俺の言葉なのか?
 ・・・俺の言葉に違いない。
 光は・・・風と共に夜散る。

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